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2011年5月6日金曜日

自己破産した時、あなたの資産は全部なくなってしまうのか?

今回は法律の話をします。

もしかして、結構大事なことで得するかもしれないんで
読んで下さいね。

大事な用語説明

■ 仮差押とは
相手の預金口座を凍結し、離婚が成立するまで、裁判所が管理する制度。



■ 「相手が財産を隠すかもしれないから」という理由で、
裁判所は命令を出してくれる



■ 仮差押の申し立てをした場合
ほぼ100%、裁判所が許可を出しています。



■ 仮差押は借金の場合限定ではなく、離婚の場合、財産隠しの場合にも
そのまま応用し、適用することができます。


で、話をしますが
銀行を動かし、財産隠しの「予防策」とは一体何なのでしょうか?
先に結論を申し上げますと「仮差押」という制度があります。


この方法を「財産を隠される前」に実行することで、財産隠しを未然に防ぐことができます。
仮差押はあまり知られていない言葉ですが、それほど難しい内容ではありません。



仮差押は預金以外の車や不動産、株式や投資信託にも適用可能ですが
ここでも預金だけに絞ってお話します。



仮差押とは
相手の預金口座を凍結し、離婚が成立するまで、裁判所が管理する制度です。


凍結というのは「引き出し禁止」という意味で、仮差押が解除されるまで
その預金口座からお金を引き出すことができません。


その結果、
・預金の存在を秘密にしておき、誰にも話さない
・お金を下ろし、現金として隠しておくこと
ということが出来なくなります。



仮差押は裁判所が絡んでいるというのがミソです。
銀行は裁判所や役所(国、都道府県、市役所など)が出した命令に弱いです。


権威にひれ伏すというイメージがぴったりです。
顧客の要望には応えませんが、「おかみ」の要望には、あっさり応えるのです。




仮差押は裁判所が銀行に対し、命令を出し、
銀行がその命令に従うという流れになります。


銀行は裁判所が出した命令に対して「本当に正しい命令なのか」
疑うことはありませんから
そのまま横流しにし、あっさり協力してくれるのです。




なお余談ですが、裁判所の近年の不祥事を見ると、
「裁判所だから100%安心」と言えない傾向です。


裁判所内部の人間が、自分の私服を肥やすために、
書類を偽造し、差押命令を出した悪例があるからです


念のため、補足をさせていただくと
仮差押は裁判所の命令だから銀行が従うだけではなく、きちんと法律で認められた制度です。
(=民事執行法)

民事執行法に書かれている制度だから、裁判所が命令を出すとも言えます。




ここまでのお話で「仮差押」という制度が非常に強力で有効なことは分かりましたが
ここで1つ問題があります。



離婚の場合、財産隠しの場合に、「仮差押」を使えるのかどうかです。
客観的に見ると、「離婚が成立するまで」「お金が引き出さない」「裁判所が管理する」ことは
相当におかしなことで、こんな異常な状況を本当に裁判所が認めて
銀行が対応してくれるのか、疑問に思われるかもしれません。


そもそも仮差押という制度は次のような場合と想定して作られました。
例えば、ある人が数社から借金をしていたとして
A社に100万円、B社に100万円、C社に100万円という内訳だったとします。



この人は貯金を100万円持っていて、この100万円を使って借金を返済した後
自己破産しようと考えていました。


貸金業者としては自己破産されると、融資金額をまるまる損してしまいます。
これでは困るため、何としても「100万円を自分の会社に返済に充てて欲しい」と考えます。
そのため、貸金業者はこの人にお願い行脚をするか、場合によっては脅迫まがいことを
するかもしれません。



このような場合、話を丸くおさめる方法は、
100万円を3つの貸金業者に平等に返済することです。

100万円を3で割ると端数が出ますが、それぞれ33万円ずつ受け取り
その後に自己破産してもらうことです。




ただ上記のように「一刻も早く返済して欲しい」と業者が本人に脅しをかけて
100万円を奪ってしまう危険があります。
その危険を未然に防ぐのが「仮差押」です。



仮差押は預金口座を凍結し、問題が解決するまで、裁判所が管理する制度です。
今回の場合、100万円を銀行に預けていれば、この口座が対象になります。



具体的には貸金業者が自主的に話し合うか、裁判所が強制的に決めるか
いずれかの方法で、100万円をどのように分けるのかを決定します。
その決定が正式なものになるまで、仮差押命令を出し、裁判所が預金を凍結します。




その結果、貸金業者は「出し抜け」を食らって、損をすることはありませんし
本人は業者から脅迫を受ける危険がなくなります。
このように両者を保護するための制度が「仮差押」です。




さて話は戻りまして財産隠しですが、「離婚」財産分与で、お金を分ける場合
仮差押が使えるかどうかです。



先ほどの話と、離婚の問題が異なるのは、当事者が少ないことです。
借金のケースでは、貸金業者が3人いましたが、離婚の場合、当事者は夫婦2人だけです。
基本的にお金をもらう人間は夫婦どちらかですから、当事者は1人です。




借金の場合、競合する人間が複数いて、下手をすれば「出し抜け」を食らう危険がありますが
離婚の場合、日本は一夫多妻制ではありませんから、競合する相手はいません。
そのような状況で「仮差押」ができるのか、ということです。


「相手が財産を隠すかもしれないから」という理由で、
裁判所は命令を出してくれるのでしょうか?
口座を凍結できるのでしょうか?




離婚の場合、仮差押が出来るのかという質問に対する答えは「出来る」です。
法律に「離婚の場合、仮差押の命令を出さない」という条文がないからです。



法律というのは民事執行法ですが、1条から207条まですべて読んでも「離婚の場合は禁止」という
内容は書かれていません。
そもそも仮差押を「どんな場面で使えるのか」法律に盛り込まれていません。



ですので積極的に「離婚の場合も使える」と声高に言うことはできませんが
「禁止されてないから使える」という消去法的な考え方です。



もう1つ、根拠になるのは、実際の現場の話です。
私が知っている限りでは、仮差押の申し立てをした場合
ほぼ100%、裁判所が許可を出しています。



裁判所が「離婚の案件だから」という理由で断ったケースは知りませんし
裁判所内でも、そのような内部規定はないはずです。



つまり、声高に言えるのは
「今までOKだったのだから、これからもOKだろう」と言うことです。


前例がある、というのは非常に大きなことで
「前例があるのなら、今回に限り、ダメとは言われないだろう」と
強気に構えることができます。




ですので仮差押は借金の場合限定ではなく、離婚の場合、財産隠しの場合にも
そのまま応用し、適用することができます。

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